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宮城野の日々
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って、書くと愛妻・こずえさんに叱られそうな、何やら意味シンですが。
 
Piperの後藤ひろひとさんを皮切りに、
大大大勢の方が大竹野さんのことを書いておられるので、
こんな題名にしてみました。
大竹野さんは、常に“関西演劇界を代表する劇作家で演出家”という冠がつく方なので、“私の”とは、我ながら大きく出たものですが
鈴美さん曰く、「大竹野さんは私とマリンちゃんが大好き」だから
きっと許してくださるでしょう。
 
 
 
 
 
高熱出して昏々と眠っていた日です。
携帯電話に知らない番号から着信が。
 
「くじら企画の大竹野ですが、次回の舞台に出ませんか。
『密会』という作品の再演であなたには少女と主婦の2役をしてもらいたいと思います」
 
「は、はいっ!」
くじら企画に出してもらえるのなら木でもいい!
私は驚きつつも元気よく返事して、そして再び昏々と眠りました。
 
目覚めた時、当然のように
「へんな夢見た??」と思って携帯電話を確認すると、やっぱり知らない電話番号からの着信があって。
 
ぅ、わっ!夢、ちゃうやんかーーーーーーーー!!
 
頭にモヤがかかっていた電話の時よりも数倍驚愕したような気がします。
 
 
そりゃまぁ、そうでしょう、
大竹野さん率いる『くじら企画』は関西演劇界で知る人ぞ知る、な存在。
私みたいに端っこの方でほそぼそ~っとやってる役者からしたら、
雲の上の人、なんて言葉でも追いつかなかったのですから。
あの時は、私の演劇人生の幸運を全部使ってしまった、と大真面目に思ったなぁ。
 
さて、熱が下がって正気に戻り、考え込みました。
どういうルートで電話がかかってきたのか全くもってわかりません。
なにしろ大竹野さんと私は接点が皆無…。
以前、ラフレシア演劇祭で、くじら企画の『夜、ナク、鳥』(釘付けになりました)を観劇した後、たまたま感想を聞かれたことが唯一思い出されただけ。
 
?マークが飛び散ったまま迎えた顔合わせ、これまた関西を代表する、顔しか存じ上げない名優たちがついている席にちょこんと座るやいなや、大竹野さんが開口一番、
 
「くじら企画に20代の人が出るのは初めてです!」(←キッパリ)
 
 
顔がまっさおになりました
「やっぱり大竹野さんは私のこと何も知らん~!!」
 
私は小柄で、おまけに顔のパーツが中央に寄り気味(昔、誰かが鍋のふたみたいな顔と言うた。失礼なっ)いわゆる童顔ですが、その時すでにどっぷり30代。
少女役を仰せつかっていたマリン、顔合わせで降板か!!
 
ってか、台本見せていただくと、この役“木”どころかヒロインなんですけど…。
 
え、ぇええええええ~っ!?
 
 
 
 
 
とまぁ、大竹野さんとのご縁はこんなふうに結ばれ、
私はくじら企画のホームページ役者紹介末席に名前を連ねる今に至っているのです。
 
のちに、私に辿りついた経緯をうかがうと、
あてにしていた女優さんと予定が合わず困っていたところ
林純代さんが私の名前をあげて下さり、大竹野さんが「あの子だったらできそうやなぁ」
私が出演させていただいていた、同じくラフレシア演劇祭参加、
劇団ARK主宰の斎藤さんに電話番号を問い合わせてかけてくださったとのこと。
純代さんともほんの少し面識があっただけなので、
なぜ私を推薦してくださったのか、それは今でもちょっと不思議ですが。
条件が「少女と主婦両方できそうな役者」とのことだったので
神原さんとこで、永遠の微少女役?(あはは)で使ってもらっている舞台をお二人とも何作か観てくださっていたからやろか??
 
ところが、そんな役者選びの範囲を狭める条件「少女と主婦の2役」も、
最終的には再演とは名ばかり、全面改定、新作『密会』となったので、
メインであった少女役は台本から消えました。
もしも、最初から全面改定で主婦役を探していたなら、
候補者の間口は格段に拡がって、100%絶対に私に白羽の矢が立つことはなかったでしょう。
 
消えるわけはないのに、この偶然の連なりがふとしたはずみで消えてしまいそうな、時々そんな心許無い気持ちになります、と大竹野さんに言ったこともあったなぁ。
 
“出たいと思って出られる劇団じゃない”というフレーズを何人に聞いたことか。
名だたる先輩女優さん方にめいっぱい羨ましがられたし。
大竹野さんは変な役者が好きなんだそうです。
はい、私は今、思いっきり自慢話をしてるんです。
 
 
大劇作家・演出家の大竹野さん。
普段は正真正銘な?ただの酔っ払いおやじです。
ある夜の電車中、ぼんやりマナコで船漕ぐ大竹野さんに出くわすと
「おぅ。マリンちゃん。ちょっと。いこか」
と私を一杯飲み屋に連れ出し
「マリンちゃんと。二人で。飲むのは初め。てやなぁ…」
言い終わるか終らないかでテーブルにつっぷしてゴウゴウ寝て、
くにゃにゃになってどうしようもなく、
私から連絡を受け、かけつけたこずえさんに回収されていくような
飲んだくれおやじです。
 
でも一転、稽古場の大竹野さんといえば、それはそれはかっこよくて。可愛くて。
目の前で役者が繰り広げる光景を、鋭い眼光で刺し見ている時があるかと思えば、
東映まんが祭ですっかり心を鷲掴みされている子どもみたいに
自分の書いたシーンに心揺さぶられ、ハッ!だの、ウッ!だの、百面相していたり。
そんな大竹野さんを見ていると、楽しくて可笑しくてとても幸せな気持ちになるので、
出番でない時、目の端でちょろ見してクスクスをかみ殺しました。
 
 
 
大竹野さんの躍動する鼓動を、
くじら企画を、
ずっと捉え続けた写真家アマノ雅広さんの数々のモノクローム。
回ってきたアルバムには、
私が全く知らない頃の大竹野さんとくじら企画が燦然と輝いて。
どれも痺れるかっこよさだったけど、私は最後にあった写真がとても好きだなぁ。
ほとんどが壁?で、左下のカドッコにちょっとだけ顔のぞかせてるやつ。
真っ白の端っこにちょこっと写る大竹野さん。あの写真、ほしいなぁ。
 
 
 
最近は大竹野さんにお目にかかる機会が多く、
6月のあうん堂さんの公演では、
同じく観劇に来られていた大竹野さんの隣があいていて、
並んでお芝居を観ました。
打ち上げ一緒に行こうと誘っていただき、楽しい時間を過ごしました。
ほんの先日、元気さんの結婚式2次会でも同じテーブルに座って、
九谷さんと共に「『宮城野』よかったよ」って言ってくれたばかりじゃないですか。
 
あの日の帰りがけ、交わした会話が最後となってしまいました。
小心者の、私なんて、な私が言わないことを珍しく口にしました。
 
「大竹野さん、また私に似合う役、書いて下さいよ」
 
「“私に似合う役”て。」
と大竹野さんの隣にいた猪岡さんが笑いました。
 
一生懸命思い出そうとするけれど、その時大竹野さんがなんて言ったのか全然思い出せないんです。
きっと笑ってごまかしたんだと思います。
 
「“うん”って言ってくれてたなら、「約束したじゃないですか!」と怒って言えたのに、もう!」
響く読経の中で、ちょっと怒って大竹野さんにそう言ってみました。
 
 
 
出演させていただいたもう1つの作品、
『サラサーテの盤』での私のセリフがとても好きで、
あれは内田百閒さんの短編小説を軸に脚本を書かれたとのことだったので、
当時「引用したセリフですか?」と尋ねたら「いや、あれは自分で」と答えられました。
「ありゃ!大竹野さんってロマンチストなんですねー」と言ったら少し照れていました。
 
 
 
―――――人生の間尺は時間の長さではありませんわ 
    だからお義兄さんは なにも泣く事など無かったのですよ―――――
 
 
 
大竹野さん、
私もまた、なんにも泣く事なんてないんでしょうかね?
そりゃご冥福はお祈りしますけど、突然のお別れ、えらくつらくて泣いてはしまう感じです。
実は実感なかったりするんですが、そこは役者ですから、すぐに取り込まれてしまうんです。


 
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