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宮城野の日々
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戯曲『宮城野』

登場人物は二人きり。
場面転換も全くなしのこの会話劇がどうやって【映画】として生まれ変わるの?
しかも宮城野を演じるのは矢代静一さんの次女、毬谷友子さん。
娘さんということ除いても、実力派演じる宮城野ですから。
どんだけーと叫びたくなるくらい
たくさんの方向から心惹かれていた映画『宮城野』を
やっと、やっと観ることが叶いました。

そういう好奇心以外にも、ちょっと、映画『宮城野』には思い入れがあって。

2007年、私のプロディース公演が決まり、
準備中にこの『宮城野』の映画化が公表されました。

どんな公演にも色々困難はつきものなんでしょうけど、
私、本当に落ち込んだ時期があって。
その時に世に出てきたのが映画『宮城野』です。

私にとっては有り得ない企画とタイミングで。

おめでたい私は勝手に、見えない力が
“へこたれるな”
と自分を後押ししてくれているような錯覚に(笑)

だから、この映画『宮城野』には、
これまた勝手に(その節は大変お世話になりました、な)感謝の念を持っていて、
しかも勝手に身近に感じていたりしてf^^;

 

その、映画『宮城野』

映画というカテゴリーで一観客として観たり、
毬谷友子さん演じる宮城野に感情移入して観たり、
自分の宮城野が受け取ってしまう場面があったり、
忙しくも、一番この映画を楽しんだ観客なのでは!と思うくらい楽しみました

以下、ネタばれありで書きます。

おかよさんが、私の『宮城野』の中にあった人物そのままで。
戯曲を“読む”だけなら、ともすれば相当な根性悪にも受け取れるけど、
若く清いが故のエゴイズム、
宮城野とはまた違うけなげさが観ている側に受け取れる人物像になっていて。
佐津川愛美さん、本当にピッタリでした!
あまりに可愛らしくて、毬谷さんが宮城野なのに、私も凹んだ^^;

写楽とおぼしき人物、これは全く想像と違いました!
戯曲の中で、私(宮城野)はおかよさんには実際会っているので
人物がはっきりあったのですが、
師匠は矢太郎の話の中だけで知る人。
私の中の写楽は、
品位も地に落とした、もっとゲスさがにじみ出たジジィだと思っていましたが、
國村さんの写楽はちゃんと師匠然としていて、
ぅわあ、こんな人だったんや~とびっくりしました

映画『宮城野』は風変わりなつくりで、舞台っぽさもあったのですが
樹木希林さんがいる場面はグッと映画らしさが上昇。存在感がさすがです。

やり手さんやお客人が登場人物としてあったことで、
宮城野の日常にリアルに触れられたのがよかった。

矢太郎の愛之助さんは冒頭辺りの、
自室で役者絵に向かって見得を切るシーン(21日上映ではなかったけれど)で、
わぁ!愛之助さん版矢太郎かっこいい!!と一気に心をグッと掴まれましたね

宮城野の毬谷さんは、言うに及ばず渾身の演技
私は特に矢太郎にひどい言葉を浴びせられた時の、忍耐した表情が一番印象に残りました。

21日は、一緒に行った吉田トミーや、友人にもよい映画だと言われて、
まるで自分が提供した作品のような感激でした。うれしかった。

 

 

【戯曲は文学であるべきだ。文学としての戯曲には行間の神秘があって、全容がつかみきれない宇宙が広がっている】

これは、いつぞ目にした矢代静一さんの言葉です。(トークショーで毬谷さんも少し触れていました)

 

「女優が違うだけでこんなにも別作品になるものなのか!
いや、女優に限らず、これは100人作れば100通りの作品になるだろう。
この台本、気に入りました」

この言葉は、以前、他の『宮城野』を観たことがある演劇関係の方が、
私の『宮城野』を観劇くださった時のものです。

 

戯曲『宮城野』はまさしく行間に神秘があって、全容がつかみきれません。
そのつかみきれない行間の宇宙に魅せられて、
みなが果敢に挑み、思い思いの橋を架ける。

付け焼刃では演じられない(これもさる関西小演劇界の重鎮の言葉)『宮城野』だからの役者を観る楽しみ、物語の展開のおもしろさ。この戯曲に詰まったたくさんの魅力の中のひとつに、
私は“数ある『宮城野』を観て、手に入れられるおもしろさ”があると思うのです。
たとえば真央ちゃんとヨナちゃんが同じ曲で、それぞれの振り付けでの対戦を観戦するようなもん!?


今回の宮城野像や矢太郎像も、今まで過去に観たそれらも、
自分の解釈とはまた少し違うけれども、だからこそのおもしろさを毎回享受しました。

より多くの方に、そういう『宮城野』のおもしろさも届くとよいなと願っています。

 

なんで、こんなことを書いているのかというと。
 

私は、日頃の行い良くまた『宮城野』の神様に好かれているので
ミラクルが下りてきて、イタリアのフィレツェで上映されたバージョンも拝見が叶ったから。

21日に兵庫県立芸術文化センターで上映されたバージョンと
2つの『宮城野』を拝見させていただいて、別作品だと感じたのです。

21日版は、トークセッションでの毬谷友子さんの言葉に、なるほどな、と深くうなづく、
戯曲『宮城野』に寄り添った作品。
こちらが宮城野の生き方が一筋の道となって浮かび上がってくる物語なら、
フィレンツェ版は宮城野と矢太郎、2通りの生き方に山崎監督の演出が加わって、
三つ巴で迫ってくる感じ。
戯曲をぐんと膨らました感がありました。

トークセッションでは演出家の西沢栄治さんが
“いい意味でヘンテコな映画”と表現されていましたが、
フィレンツェ版はもっとヘンテコだったので、
私は、21日版はずいぶん映画らしいな、と思いました(笑)

 

 

どちらも、よかった。

どちらを観た方も、いい映画に巡り合った方々だなぁと思う。

ただ、私には両方の世界を拝見できる幸運があった。

これから、どういう形で映画『宮城野』の上映が組まれるのかわからないけれど、
この幸運が多くの人にも与えられますように、と結ぶことにしよう。


by   藍田マリン

 

***********************************

 
【追記】
 
映画『宮城野』のオフィシャルサイトや山崎監督のホームページを覗いてみると
今後、上演予定がどんどん入っているようですね
 
5月に新宿、7月に横浜で上映会予定。こちらは21日に上映されたバージョンでしょうか
6月に名古屋のミニシアター、「名古屋シネマテーク」にてフィレンテェ上映バージョン。
 
盛況、お祈りしています


 

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